日本生活科・総合的学習教育学会について
学会の紹介
日本生活科・総合的学習教育学会は、1992年に設立された日本生活科教育学会を母体として、
2000年の総合的な学習の時間の誕生と共に現在の「日本生活科・総合的学習教育学会」として発展をしてきました。
創設以来、会員の約7割を現職教員が占め、「現場のための研究学会」として学会の運営を進めてきました。
毎年6月に開催される全国大会では、第一日目に各開催地の優れた授業実践に学ぶための「授業公開」と「研究協議」を取り入れ、
第二日目には、最新の情報収集や生活科・総合的学習の原点を確認するための講演・シンポジウムなどが企画されるなど、よりよい実践づくりのための情報収集の場となっています。
この他にも、学会誌の発行や実践づくりに役立つ「実践ブックレット」の発行、地域研究会の支援などを行っています。
現在は日本学術会議から「日本学術会議協力学術研究団体」として指定を受け、我が国の教育学界における確固たる地位を築いています。
この機会にどうぞご入会いただき、支部の皆さんとまた全国の先生と一緒に生活科・総合的学習の実践を学んでみませんか。
学会の特色
本学会の目的・目標は、生活科と総合的な学習の実践や教育研究を行うと共に会員相互の連絡と協力をうながし、教育研究の成果を広く社会に発信することを通して、生活科と総合的な学習の充実発展と普及に努めることにあります。本学会の特色は、さらに次の点にあります。
1つには、本学会は、その呼称にみるように、「生活科」の新設(平成元年)や「総合的な学習の時間」の創設(平成10年)に端を発し、新たな教科構成の原理と教育課程の枠組みによって、これまでにない新しい教育のあり方を追求し、創造することを目指していることです。
2つには、そのような気概と志をもつ人々が集うがゆえに、本学会には従来の学会には見られない会員層の多様性が認められます。
本学会の主な会員は授業実践者ですが、校種で言えば幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教員がいます。
加えて、学校経営者、管理職教員、国や都道府県・市区町村の教育行政に携わる人、大学の研究者、大学院生や学部学生、出版に携わる人、非営利団体の職員などがいます。
大学における研究者も、教育学、教科教育学、幼児教育、心理学、社会学、経営学、教科専門、生涯教育など、その専門分野は多彩です。
特筆すべきは、そうした各人の特性を生かしつつ、協働して実践と知の創造に取り組んでいることです。
3つには、学会としての活動も総合的な様相を呈していることです。
毎年6月に開催する全国大会は、専門学会として重視するその時々の課題研究と共に、自由研究発表の機会を確保し、開催地の個性溢れる企画・運営を取り入れた、魅力あるものです。
全国大会での交流は、初日の懇親会とも合わせて参加者の大きな楽しみです。
そのほか各県の学会支部による独自な活動もあります。
また、毎年、東京で開催する「シンポジウム」は、会員以外の講師をも招聘する活気ある異業種交流の機会として好評を得ています。
4つには、広報や学会誌のほかに、学会刊行物の発行も活発なことです。
年2回届けられる広報誌では、直近の学会活動の様子や会員の感想を知ることができます。
年1回発行の学会誌『せいかつか&そうごう』は、会員ならばどなたでも投稿可能であり、学術研究の成果や課題を知る手がかりとなっています。
さらに年1回発行される小冊子『生活科・総合の実践ブックレット』は、紹介された実践事例を介して、よい実践の見所を的確に学べるようになっています。
また、年次大会での発表や学会誌やブックレットに掲載された論文を対象に、若手の実践者や研究者に贈られる「研究奨励賞」があります。
会長挨拶
第11期の途中ではありますが、田村学前会長より本学会の会長を引き継ぐことになりました中野真志です。微力ながら学会のために尽力いたしますので、皆様、ご協力を宜しくお願い申し上げます。
現在,多くの学校は,学習指導要領で示された資質・能力を調和的に育成・涵養するために,主体的・対話的で深い学びによる授業改善とその授業観に基づく学校改革,それを推進するカリキュラム・マネジメントに取り組んでいます。さらに,コロナ禍で一気に普及した1人1台のタブレット端末を用いてICTをフルに活用し,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実による教育活動の質的向上が目指されています。
しかし,すべての政策,それゆえ教育政策と教育改革においても短期的ではなく長期的な視座に立つことが肝要ではないでしょうか。学校教育が成立して以降,その教育史を概観すると,「新教育」対「旧教育」,「子ども中心」対「教師中心」,「教師の指導活動」対「子どもの自己活動」,「進歩主義」対「本質主義」,「経験主義」対「系統主義」,「学問的知識・技能」対「経験的知識・技能」というように二項対立的に語られてきました。
この見方に従えば,生活科と総合的な学習(探究)の時間は,新教育,子ども中心,子どもの自己活動と経験的知識・技能の重視,経験主義教育に分類されるでしょう。しかしながら,現実の教育実践はそれほど単純ではなく極めて複合的です。子どもの個性,教師の個性は多様です。各学校を取り巻く環境と文化も国や地域,時代によって異なり多様です。この複合性と多様性を熟慮せず,皮相のみを捉えた単純化,それ自体が問題であり,前世紀初期に世界的規模で展開された新教育が未完の教育だと言われる主な要因ではないかと考えています。
本学会では,生活科と総合的な学習(探究)の時間を未完に終わらせない,その教育活動の理論化と実践化の担い手となる学会員を募集しています。ぜひ,本学会の魅力あふれる探究的で協働的な学びの文化に参加してください。
日本生活科・総合的学習教育学会 第11期(2024年度-)会長 中野 真志
会員構成
会則
日本生活科・総合的学習教育学会会則[PDF]
理事一覧
第11期(2024年度) | 会長:中野真志 理事一覧 |
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第11期(2023年度) | 会長:田村 学 理事一覧 |
第10期 | 会長:朝倉 淳 理事一覧 |
第9期 | 会長:野田敦敬 理事一覧 |
第8期 | 会長:寺尾慎一 理事一覧 |
第7期 | 会長:寺尾慎一 理事一覧 |
第6期 | 会長:嶋野道弘 理事一覧 |
第5期 | 会長:嶋野道弘 理事一覧 |
第4期 | 会長:谷川彰英 理事一覧 |
第3期 | 会長:中野重人 理事一覧 |
第2期 | 会長:中野重人 理事一覧 |
第1期 | 会長:滝澤武久 理事一覧 |
学会の歩み
1992年 | 日本生活科教育学会として発足(初代会長 滝沢武久) |
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1992年 | 第1回全国研究大会(埼玉大学付属小学校)を開催 |
1994年 | 学会誌「せいかつ」第一号発行 |
1996年 | 第二代会長に中野重人(元文科省視学官) |
2000年 | 日本生活科・総合的学習教育学会に改称 学会誌を「せいかつか&そうごう」に改称 |
2002年 | 第三代目会長に谷川彰英(筑波大学名誉教授) 「学会シンポジウム」の開催 |
2005年 | 第四代会長に嶋野道弘(元文科省主任視学官) |
2007年 | 「実践ブックレット」の創刊 |
2011年 | 第五代会長に寺尾愼一(元福岡教育大学学長) |
2017年 | 第六代会長に野田敦敬(愛知教育大学副学長) |
2020年 | 第七代会長に朝倉淳(安田女子大学教授) |
2023年 | 第八代会長に田村学(國學院大学教授) |
研究奨励賞
本学会には、年次大会での発表、学会誌やブックレットに掲載された論文を対象に、若手の実践者や研究者に贈る「研究奨励賞」があります。
第1回 | 野田敦敬 | 生活科学習の評価法の開発研究 -幼稚園の週案を基にした生活科小単元案の作成- |
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第1回 | 三堀 仁 | 子どもの生き生きとした姿が見られる生活科をめざして -おや?わくわく!もっと!!でつながる年間指導計画- |
第2回 | 伊藤道彦 | 『子どもの事実』に学ぶ授業研究 |
第2回 | 松本謙一 | 単元を通しての「約束」が織りなす追究の広がりと深まり -第2学年生活科「ぼくらはふなのりシンドバッド」の実践から- |
第3回 | 小玉容子 | 学びたくなる総合的な学習の時間 出会いと感動が学びの力を育んだ3年間の記録 -平成13~15年度の実践より- |
第3回 | 木村吉彦 | 生活科・総合的な学習の存在意義 -全人的な学力観を前提にして- |
第4回 | 櫻井眞治 | 子どもの「知りたい、明らかにしたい」で展開する活動と、教師の支え - 「伝通院が小さくなったのは、なぜか?」(三年生)の追究と通して- |
第4回 | 田島隆一 | 「総合的な学習」で見つけた学び -子どもの学びを支える取り組み- |
第5回 | 池田仁人 | 自信を深め活動を広げる生活科の実践的研究 -1年生の「学び合い」の可能性を探る- |
第5回 | 宮野真知子 濱田 純 |
入学初期における小1プロブレムへの挑戦 -生活科をコアにしたESプランの試み- |
第6回 | 木村光男 | 生活科栽培活動における気付きの生成と展開 -「思考を経た気付き」に視点をあてて- |
第6回 | 齊藤和貴 小林宏己 |
子どもの時間意識の分析を通した気付きの質的高まりの研究 -植物栽培単元『春にさくお花を育てよう』(1年生)を通して- |
第7回 | 秦 啓子 | 体験から言葉を育てる教師の支援の在り方 -幼小接続期における生活科の気付きに着目して- |
第7回 | 藤本勇二 | 総合的な学習の時間における協同的な学び |
第8回 | 寺澤小織 松本謙一 |
気付きの質を高める話し合いの構想 -第1学年生活科「がっこうたんけん」の授業カンファレンスを通して- |
第8回 | 大下さやか | 心に、身体に、頭に刻み込まれる川の学び -学びの質を高める手立て- |
第9回 | 伊能恵子 | 「保育所児童要録:子どもの育ちを支える資料」の共有化を目指して -領域「言葉」におけるルーブリック作成を通して- |
第9回 | 加納誠司 | 言葉の力を発揮し豊かに表現する生活科授業の創造 -大正自由教育の理念を現代に活かした「はたけうた」を通して- |
第10回 | 柴山洋祐 | 生活科学習への多重知能理論からのアプローチとその意義 |
第10回 | 阿部 智 | 教師自ら探究する授業づくりから始まる総合的な学習の時間 -二年間の実践から見えてくること- |
第11回 | 飛弾直樹 松本謙一 |
「生き方」に直結する自己評価とその支援 -5年総合「5年1組の私が選ぶ!古里校区のじまんの人」の実践を手がかりに- |
第11回 | 市川篤史 | 協同的な学びを大切にした総合的な学習の時間 -トマトが子どもの思いと地域をつなぎ、まちおこしへと発展!- |
第12回 | 荒田幸平 松本健一 有島智美 |
生活科のねらいに直結した栽培活動の提案 ~1年「つくろう わたしの ちいさなおにわ」の実践から~ |
第12回 | 中村麻由子 | 生活科における教師の共感的なまなざし |
第13回 | 馬淵勝己 | 暮らしを物語ることで見えてくる子どもの学び |
第13回 | 山田泰弘 | ジョン・バーレルの問題に基づいた学習(PBL)理論の探究的な学びの基盤をつくる生活科への応用とその意義 |
第14回 | 小林華奈子 | 科学的な見方・考え方の基礎を養う生活科の在り方 ~学習活動・学習環境・教師のかかわりを関連・機能させた授業づくりを通して~ |
第14回 | 加藤 智 | 総合的な学習の時間を充実させる「リフレクション」に関する研究 -米国サービス・ラーニングにおけるリフレクション研究をもとに- |
第15回 | 青池智美 | 対象への思いや願いを高め、学びを実感する子どもの育成 ~一年「そだててあそぼう~ひろがる わたのせかい~」の実践を通して~ |
第16回 | 田宮 縁 | 生活科・飼育単元における学習過程と子どもの思考の変容-期限付きモルモット貸出事業を活用した実践の量的・質的検討- |
第16回 | 齋藤浩平 | 子供が自分事として主体的に取り組む栽培活動の一考察 |
第16回 | 廣瀬志保 | 高等学校の総合的な学習の時間におけるカリキュラム改善の試み-地域創生をテーマに振り返りを重視した授業の実践- |
第17回 | 宗形潤子 | 小学校生活科の砂遊びが入学間もない子どもの居場所づくりにもたらす影響-関与観察とエピソード記述を手掛かりとして- |
第18回 | 武田文子 | 気付きの質を高める生活科の学習指導の あり方~国語科との合科的・関連的な指導 による気付きの表出の効果的なタイミング と方法~ |
第18回 | 西野雄一郎 | 幼児期における「協同性」の生活科学習へ の接続に関する研究―プロジェクト・アプ ローチにおける「協同性」からの示唆を生か して― |
第19回 | 甫仮直樹 | 生活科における探究的な学びを成立させる教師の意識の生成―低学年「探究」領域を実践する教師の意識の変容プロセスの分析を通して― |
主な年間事業
4月 | 会報の発行 |
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6月 | 全国研究大会の開催・「実践ブックレット」の発行 |
10月 | 会報の発行 |
11月 | 学会シンポジウムの開催 |
3月 | 学会誌「せいかつか&そうごう」の発行 |
学会事務局
〒739-8524 広島県東広島市鏡山1-1-1(広島大学教育学部内) 日本生活科・総合的学習教育学会事務局 電話:082-424-4406 月・水・木曜の午前10時から午後3時(右記時間帯以外は留守番電話対応) (上記の時間帯でも留守番電話での対応になる場合があります。)