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会長挨拶

第11期の途中ではありますが、田村学前会長より本学会の会長を引き継ぐことになりました中野真志です。微力ながら学会のために尽力いたしますので、皆様、ご協力を宜しくお願い申し上げます。

現在,多くの学校は,学習指導要領で示された資質・能力を調和的に育成・涵養するために,主体的・対話的で深い学びによる授業改善とその授業観に基づく学校改革,それを推進するカリキュラム・マネジメントに取り組んでいます。さらに,コロナ禍で一気に普及した1人1台のタブレット端末を用いてICTをフルに活用し,「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実による教育活動の質的向上が目指されています。

しかし,すべての政策,それゆえ教育政策と教育改革においても短期的ではなく長期的な視座に立つことが肝要ではないでしょうか。学校教育が成立して以降,その教育史を概観すると,「新教育」対「旧教育」,「子ども中心」対「教師中心」,「教師の指導活動」対「子どもの自己活動」,「進歩主義」対「本質主義」,「経験主義」対「系統主義」,「学問的知識・技能」対「経験的知識・技能」というように二項対立的に語られてきました。

この見方に従えば,生活科と総合的な学習(探究)の時間は,新教育,子ども中心,子どもの自己活動と経験的知識・技能の重視,経験主義教育に分類されるでしょう。しかしながら,現実の教育実践はそれほど単純ではなく極めて複合的です。子どもの個性,教師の個性は多様です。各学校を取り巻く環境と文化も国や地域,時代によって異なり多様です。この複合性と多様性を熟慮せず,皮相のみを捉えた単純化,それ自体が問題であり,前世紀初期に世界的規模で展開された新教育が未完の教育だと言われる主な要因ではないかと考えています。

本学会では,生活科と総合的な学習(探究)の時間を未完に終わらせない,その教育活動の理論化と実践化の担い手となる学会員を募集しています。ぜひ,本学会の魅力あふれる探究的で協働的な学びの文化に参加してください。

日本生活科・総合的学習教育学会 第11期会長 中野 真志

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